黒木亮:トップレフトを読んだ感想。「マイワード・イズ・マイボンド(私の言葉が私の保証)という言葉を覚えておられますか?」ってセリフがカッコいい。

 

「マイワード・イズ・マイボンド(my words is my bond 私の言葉が私の保証)という言葉を覚えておられますか?」

※電子版Kindle トップレフト 黒木亮著 より引用。

 

 

こんにちは。読書@toiletです。

読書@toiletの読書日記も兼ねて読んだ本の紹介させていただいてます。

 

恥ずかしくて人には言えないけど、座右の銘にしたい言葉

「トップレフト」は、黒木亮さんのデビュー作です。著者は本書で作家としてデビューする前、都市銀行・証券会社・総合商社での勤務経験があり、いくつもの世界規模のプロジェクトファイナンスを手掛けたとのこと。

本書の評価では、その実務経験から「圧倒的にリアルだ」という声が多いようです。私は金融業について、さっぱり詳しくないので「圧倒的にリアル」かどうかの判断はつきませんが、間違いなく一気読みしてしまうほど、本の中に深く潜れました。

本書には2人の主人公を軸に進行します。一人はロンドン・シティで邦銀に勤務する今西哲也。もう一人は米投資銀行ロンドン支店に勤務する龍花丈。

冒頭のセリフは、邦銀バンカー今西が手掛けるシンジケートローン(企業買収や工場建設に必要となる巨額の資金を、同一の契約条件において、複数の銀行によって結成される銀行団で引き受ける融資のことのようです)が暗礁に乗り上げた際、今西のパートナー(銀行団の内、一行の担当者)から発せられたものです。

「私の言葉が、私の保証」

本書の中では、以下のように解説されています。

ロンドンの金融街シティで国際金融の世界に足を踏み入れることを許された者の誰もが最初に聞く言葉だ。

マイワード・イズ・マイボンド(my word is my bond、私の言葉が私の保証)。

一度口に出した約束は命をかけても果たす。

口約束だけでディールがどんどん進行していく国際金融ビジネスのプロフェッショナリズムを表す言葉だ。シティの中枢であるロンドン証券取引所の紋章には、この言葉が「DICTUM MEUM PACTUM」というラテン語で刻み込まれている。

※Kindle版「トップレフト」黒木亮著 より引用

 

震えました。

前後の文脈を通さずに、一部分だけを抜き出すと「なんだかクサいセリフだなぁ」となるかもしれません。ですが本書を読み進め、主人公に感情移入している中、クライマックスの一つであるこの場面を、著者の臨場感あふれる表現と筆力を乗せてぶつけられると、感動に心が震え全身に鳥肌が立ちます。

 

信用の作り方は

口約束だけで業務を進めていかなければならないのは、特にスピード重視の昨今、金融業だけのお話ではありません。

私も口頭のみで数千万、時には億を超える取引が発生することがあります。本書の取引とは二桁くらい規模が違うのですが、やはり個人で責任を負える範疇ではありません。あとから「やっぱり出来ませんでした」では、取引先にも社内にも少なからず迷惑がかかります。

ここで失うものは信用です。

信用とはビジネスに限らず、生活全般における人間関係に欠かせないものです。

よく

「信用を築くのは難しい、しかし信用失うのは一瞬だ(簡単だ)」

と言われます。

確かに信用を失う方法は簡単でしょう。嘘をつく、裏切る、時間を守らない、実に色々な方法があります。では信用を築く方法は?

私は「約束を守ること」しか浮かびません。人間は「約束を守ること」でのみ信用され、「守った約束の難易度と数」によって、「築く信用の高さ」が決まると考えます。一度、約束をしたことは、規模の大小に関わらず、必ず守る。

「やっぱり」「でも」は絶対に使わない。

基本的なことですが、実行するのはなかなか難しい。改めて肝に銘じておきたいと思います。

 

エリートとはこういうものか!

本書のもう一人の主人公である龍花丈は、米投資銀行に努めるスーパーグローバルエリートです。

 

✔ 考えることはお金だけ、40歳前半にして資産は10億円以上?

✔ 年中、海外出張をしており、常にビジネスクラスを使用

✔ 緊急時はコンコルドで移動

✔ 行きつけの高級レストランでは、毎回一本6万円のワインを注文

✔ 自宅には8つのベットルーム

✔ でも父親と母親の死に目に会えない

 

日系企業でも海外出張は珍しくないと思いますが、流石にコンコルドで移動することはないと思います。

海外出張すら一度もない、私とは縁遠いグローバルエリートは、こんな感じなんだなぁ、わぁぁぁ・・という感じです。

 

対して邦銀勤務の今西さんは、ロンドンの社宅に住まう年収千数百万(年収1,000万以上であれば十分にエリートだと思いますが)。待遇だけでなく、今西と龍花は、職場の環境・人生観や仕事への考え方・生い立ちが対照的な設定になっていまおり、2人の視点を通して

 

■仕事の目的

■幸福とは何か

 

を筆者は読者に問うています。

私は、、、、一度でいいから、コンコルドに乗ってみたいと思いました。

 

この本を読むなら、こんな人

 

✔ これから銀行に就職する人、もしくは入ったばかりの人

✔ 現在銀行で働いている人

✔ これから商社に就職する人、もしくは入ったばかりの人

✔ グローバルエリートになりたい人

※もちろん、上記以外の方が読んでも面白いです。

 

 

■作品;「トップレフト」

■著者;黒木亮

■種類;経済小説

■刊行;2000年11月

■版元;角川文庫

フォローする