真山仁:「ハゲタカⅣ グリード」を読んだ感想。なんとかなるさ~という思考について考察してみた。その1

「最貧国に僅かばかりの豊かさを与えたところでどうなる?皆が欲望の虜になって、富を奪い合うのが関の山だ」

※講談社文庫 ハゲタカⅣ グリード(下) 真山仁著 P58~59より引用。

米国の建前を縦糸に米国の本音を横糸に、著者が織り上げた星条旗に浮かぶ文字は、強欲か、矜持か。

こんにちは。読書@toiletです。

読書@toiletの読書日記も兼ねて読んだ本の紹介させていただいてます。

ハゲタカシリーズについて

真山仁先生のデビュー作にして、人気の経済小説シリーズですね。NHKでのドラマ化、また映画化(配給:東宝)され、高い評価を受けているので、タイトルやシリーズの存在は非常に多くの方がご存知かと思います。

主に企業買収を題材に、お金、欲を振り回し、また振り回される人間模様を描いています。

作品を重ねるごとにスケールが大きくなっており、シリーズ第4作目となる本作では、世界最大の金融街ウォール街が舞台となります。

シリーズ1〜2作目あたりまでは、善玉VS悪玉といった構図もあったのですが、生き馬の目を抜くウォール街が中心の本作においては、虚実を織り交ぜ、権謀術数を張り巡らせ、とめどなく資産を積み上げる、見事に卑怯で強欲な、つまり悪い人間ばかりが登場します。そして金儲けのテクニック世界NO.1決定トーナメントが繰り広げられます。

超エリートで超高給のウォール街バンカーは憧れの職業ですが、とてつもなく大変そうだということが、本当によくわかります。

またフィクションではありますが、ある程度、実際の出来事や企業、人物を下敷きにして書かれていますので、ビジネス教養を身につける上でも非常に有効だと思います。

参考 ハゲタカ・バイアウト(ハゲタカⅡ)・レッドゾーン(ハゲタカⅢ)の記事はこちら↓

バブルの玉が爆ぜる音、諸行無常の響きあり。財務諸表の赤の色、盛者必衰の理をあらは(わ)す。絶えず変化する経済食物連鎖を支配する頂点捕食者は正義か悪か。 読書日記です。「ハゲタカ」を読んだ感想を書いています。
「名門企業」とは、数少ない宝箱を携える選ばれし者か、開けてはならないパンドラの箱を抱えた妖怪か 読書日記です。真山仁:ハゲタカⅡの感想を書いています。
読書日記です。真山仁「ハゲタカⅢ レッドゾーン」の感想を書いています。

赤信号みんなで渡れば怖くない、いわゆる、なんとかなるさ理論

「赤信号みんなで渡れば怖くない」とはタレント、ビートたけしさんの言葉だそうですが、名言ですね。本作は2008年のリーマンショックを時代背景に書かれていますが、まさに当時のウォール街の心理は、こんな感じだったのではないかと思います。

作中では、下記のように表現されています。

「ダンスの曲が流れ続けているのに、踊りをやめるバカはいない」

※講談社文庫 ハゲタカⅣ グリード(上) 真山仁著 P52より引用。

この心理は、日本のバブル崩壊時にも当てはまると思いますが、大規模な金融危機だけではなく、私達の日常生活にも十分に適用されます。

例えば住宅購入について。

2018年4月現在、東京の不動産価格は高騰しています。オリンピックや金融緩和、低金利政策、税制などを考慮した、投資あるいは投機的な買いも、もちろん要因の一つですが、住宅としての利用、つまり「マイホーム」としての需要が旺盛なことは否めません。そしてその多くは、30年以上のローンによる購入です。

何かを購入するということは、損得勘定のみで考えると、算定した購入物の将来価値を現在に引き直して、適正かどうかで判断する行為となります。

私は専門家ではないので、不動産の将来価格など予想できませんが、持家率や予想される人口減少および20年や30年では、ほぼ絶対に解決しない少子化から、住宅需要が今後も伸びるとは考え難く、やはり割高という感覚があります。

そして、私個人の感覚ばかりで恐縮ですが、私と同じように「高いなぁ」と感じながら、購入しているケースがほとんどだと思います。

では、なぜ「高いなぁ」と思いながら購入するのか?

✔ 周り(自身の両親が若いころも含めて)も買ってるから大丈夫だろう

✔ 自分の周囲も同じことをしているし、ちょっとヤバイかな?と思っても、今までなんとかなってきたから、なんとかなるさ

という心理が決め手になっている可能性が高いと思います。これを私は勝手に「なんとかなるさ理論」と呼んでいます。そして、この「なんとかなるさ理論」が全米規模で崩壊する過程が、本書に書かれています。

長くなりそうなので、次回に続きます。

ちなみに、偉そうに書いていますが、私はあえて不動産購入をしないのではなく、余裕がないから買えないだけです。

余裕があれば、「なんとかなるさ」と購入する側の人間です。

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