不動産:2025年 東京不動産大暴落

いまの住宅・不動産業界は、航路の先に大きな氷塊が見えているにもかかわらず、進路を変えずにゆうゆうと進んでいるタイタニック号のようなものではなかろうか。

※イースト・プレス 2025年東京不動産 榊淳司著 P221より引用

こんにちは。読書@toiletです。

読書@toiletの読書日記も兼ねて読んだ本の紹介させていただいてます。

2025年 東京不動産大暴落

本書はなかなか衝撃的なタイトルだったので、思わず手にとった一冊です。本書は各数値の中で最も予想確度が高い、人口増減と人口における年齢構成のデータおよび、法令と政策の視点から2025年以降、東京の不動産価値が下がるかもしれない、と警鐘を鳴らしています。

また不動産は資産としての金額の大きさから、税制や金融政策・株式相場との関連性も高いため、不動産の専門的な内容にとどまらず、財務省・日銀などのあり方についても、著者の見解が示されており、色々と勉強になりました。

以下は、本書で示された2025年の東京不動産大暴落の根拠をざっくりまとめます。

近未来の人口増減と構成:

日本が世界に類をみない超高齢化社会へ突入し、将来は急激な人口減少を迎えるというのは、よく知られた事実です。実際、内閣府は既にに2010年をピークに減少に転じたとアナウンスしています。しかし人口減少は主に地方で起こっており、都市部の人口は増加しているというのが筆者の認識でした。本書では、その都市部の代表東京でも、人口減少は始まると書かれています。

2021年:団塊ジュニア世代が50歳以上へ

まず東京オリンピクが終了した2021年、団塊ジュニア世代が50歳代になります。団塊ジュニア世代とは、色々な定義があると思いますが、本書では1971年~1974年の第2次ベビーブームに生まれた方々を指しています。

不動産市場、特にマイホームの販売ターゲットは30~40歳代になると思いますので、人口の多い団塊ジュニア世代が、完全にターゲットから外れることとなります。そこで、ターゲットが少なくなるので、不動産市場が縮小するのでは?というお話になります。

ただ同時に日本人の寿命自体が伸びている事実にも目を向けなければなりません。団塊ジュニア世代が50歳以上になり始めたのであれば、「老後に暮らしやすい住まい」をコンセプトに新たに50歳以上をターゲットとした不動産案件が多数出てくることが予想されます。この際、問題は価格でしょうか。50歳の人に35年ローンは現実的ではありません。50歳の人が購入しやすい価格帯の住宅というと、やはり現在の住宅価格は維持できなくなると考えられます

2025年:東京の人口が減少へ

首都圏と言われる東京・神奈川・千葉・埼玉を合わせたエリアは、人口で3600万人という世界一の人口密集地帯です。その世界一のメガシティの中心地である東京も、ついに2025年に人口減少に転じると予測されています。その時、日本全体では人口のボリュームゾーンである団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、65歳以上の人口が日本全体で3600万人を超えます。これは日本全体の人口の30%を65歳以上の高齢者が占めることになります。

本書で東京不動産の暴落が示されている年です。

2030年:東京の世帯数が減少へ

冒頭で書いたように、日本の人口は2010年を境に減少しています。不動産市場の需要も大きくは人口の増減とリンクすると思いますが、どちらかというと世帯数と強い相関を持っているはずです。現在、核家族化・親との同居率の低下により、世帯数は減りにくい環境にあります。ところが、2030年には、ついに東京でも世帯数が減少するとの予測があるそうです。世帯数=必要となる住宅の数なので、2030年以降は、確実に住宅需要は減少すると見込まれますね。

2025年までの法令・金融政策について:

人口の増減が不動産市場の根底を支える潜在てきな指標であるならば、法令・金融政策は、より短期的に、よりダイレクトに不動産市場に影響を与えると考えられます。

2017年:米国の段階的な金利引き上げ

既に昨年からFRBの金利引き上げは段階的に行われています。筆者は金融に詳しくないので、米国の段階的な金利引き上げが、どのように日本の不動産市場に影響を与えるのか?が理解てきていません。

米国と日本のような先進国間で金利差が大きく開くと、通常は金利の高い方の国の通過が買われます。従って米国の金利が引き上げられると、米ドルが買われるため、日本円は安く、つまり円安になるのはわかります。

そこで不動産市場からもマネーが引き上げられ、米ドルへ向かうということでしょうか?もしくは円安は、日本経済の主力である輸出産業にとって追い風となるため、株式市場へ資金が流入し、やはり不動産市場から資金の引き上げが行われる?

もしくは、東京湾岸エリアのタワーマンションを「爆買い」した中国マネーが、米ドルへ向かうため、局地的な暴落につながる?

本書では明確な、因果関係が示されませんでしたので、筆者の想像ですが、良い影響はないようです。

2022年:生産緑地法の期限切れ

本書に上げられている根拠の中で、筆者が最も影響がありそうだと感じたのが、これです。「生産緑地法」とは、都市部にある農地に対して30年間を期限として、特別に税率を安く設定する代わりに、土地の売却に厳しい制限を設けた法律です。土地はエリアごとに使用用途が定められており、東京に代表される「市街化区」は、市街として発展させやすいよう規制をゆるくする代わりに、頑張ってお金を稼いで、いっぱい税金を収めるよう、固定資産税が高くなっています。しかし都市部にも農地があったりします。農業は一般的に生産性が低いため、税率を上げられると経営を圧迫しますね。その対策として農業保護の目的で制定された法律が「生産緑地法(現在施行されているのは、正確には『改正生産緑地法』)だと思いますが、この期限が2022年で切れます。

現在の東京で農業を営んでいる方は、ほとんど高齢の方でしょう。そして多くが後継者に恵まれていないと予想されます。

つまり2022年以降、首都圏に膨大に残っていた農地が、不動産市場に一斉に供給される事態が考えられます。需要が変わらない状態で、一方的に供給が増えれば価格が下がるのは、中学校の社会で習う市場経済の基本ですね。

住宅は購入すべきか、賃貸にすべきか

これは常に議論されつつも、予想するにあたり変数が多すぎて結論が出ない議論です。1960年~80年代における日本の経済および社会情勢であれば、

✔ 全国的に人口増が見込まれる

✔ 不動産の値上がりが高確率で見込まれる

✔ 不動産市場自体が、まだ発展途上

だったので、住宅購入の方が有利だったと思いますが、現在の情勢は、上記3点が全て当てはまらなくなっていますので、羅針盤がない状態ですね。

筆者はこれまで不動産を購入したことはありませんが、購入しようとしたことはあります。結局、支払余力を上回るので購入できませんでしたが、、、、

基本的に購入を諦めた経緯から、不動産購入に対して否定的な見解になりますが、その際に考えたことは、以下の通りです。

高く売れた場合、買う値段も高い:

何を今さら、、、という声が聞こえてきそうですが、住宅ローンを35年で組んだ場合、間違いなく定年後もローン返済が残ります。その際は、不動産がローン残高を上回っていれば、売却してローンを返済すれば良いとも考えました。しかし、筆者は投資としてではなく、自身が住む住居としての購入を前提にしていましたので、ローン返済のために自宅を売却した後は「どこに住むの?」という問題が残ります。うまくいって、売却益が手元に残って新しい住居を購入するとしても、高く売れる時期ということは、買う値段も高いということです。つまり、住宅としての使用を前提とした場合、売却は現実的でないという結論に至ります。すると定期的な収入がある内に(定期的な収入が何十年もある保証はどこにもないですが)繰り上げ返済によって、何千万円ものローンを完済する必要があります。

筆者の収入では、かなり無理をしないと難しいと判断しました。

不動産自体のほか、諸費用の金額が結構大きい:

現在は極端な低金利政策により、史上もっとも住宅ローンの金利が下がっている時期になります。住宅ローンの金利においては、変動・固定もしくはその両方の組み合わせを選んで組むことが可能ですが、筆者は固定費の変動があると、家計の計画が立てにくくなるため、最低でも20年は固定期間のあるローンを考えていました。2018年6月時点で20年固定金利は、おおよそ1%前後かと思います。

住宅金融支援機構の調査(2016年度調査)では、東京都のマンション平均購入価格は5135万円。※出典:https://www.jhf.go.jp/files/400342360.pdf

購入資金の全額をローンで賄い、返済期間の平均金利1%(元利均等返済)で計算すると、金利分は約950万円となります。これに購入時の税金・登記、手数料・保険、引っ越し費用を考えると、千数百万円です。もちろん住宅ローン減税などの優遇処置を利用すれば、上記の金額は圧縮されますが、やはり資産価値+数百万円の負担は発生します。

最悪、帰る家はある:

最後の理由が最も大きのですが、筆者は東京生まれではないため、生家が別に存在します。ここが何らかの事情で手放さざるを得なくなってしまうとマズイのですが、最悪でも住む場所は確保出来るのです。東京都内に長期間の返済を伴うリスクを取る必然性がないと考えました。

ということで、筆者は東京での不動産購入を見送りましたが、2025年、本書の通り地価は暴落するのか、逆に暴騰して「うーん、臆病者め!」と過去の自分を攻めることとなるのか。。。様子を見てみたいと思います。

後半は本の紹介というより、筆者の「自己正当化」の記事になってしまいましたが、記事の前半部分にまとめた内容は、ほんの一部です。他にも

✔ 住宅購入の際に気をつけること

✔ 東京都内で値下がりしにくい場所は?

など、東京都内で不動産購入を検討されている方は目を通して損のない内容だと思います。

ぜひ手にとって見てくださいね。

■作品;2025年 東京不動産大暴落

■著者;榊淳司

■種類;新書

■刊行;2017年6月

■版元;イースト・プレス

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