イケダハヤト:まだ東京で消耗してるの?

「指示待ち」しかできない人を養えるほど、日本はもう豊かではないのです。

※幻冬舎新書 まだ東京で消耗してるの? イケダハヤト著 P77より引用

こんにちは。読書@toiletです。

読書@toiletの読書日記も兼ねて読んだ本の紹介させていただいてます。

まだ東京で消耗してるの?

本書はプロブロガーとして有名なイケダハヤトさんの新書です。書名というより、このタイトルで運営されていたブログの方が圧倒的に有名ですね。2018年6月現在は「まだ仮想通貨もってないの?」というタイトルに変更になっています。

筆者はイケダハヤトさんのブログ「まだ東京で消耗してるの?」は好きで、よく拝見させていただいておりました。イケダハヤトさんを知ったのは、モバイルの通信環境をWiMAXから、格安SIMのぷらら(速度3MB制限、容量無制限)へ変更を検討していた際に読んだ、「高知の限界集落へ拠点を移した著名ブロガーも、ぷららを愛用」という内容の記事でした。同時にプロブロガーが実在することを初めて認識しました。その後ぷらら3MB無制限SIMを契約し、しばらくは本当に快適だったのですが、利用者が増えすぎたせいか、徐々に通信速度が劣化していき、ちょっと悔しい思いをしたので印象に残っています。

本書の書名にもなっている「まだ東京で消耗してるの?」というタイトルですが、大変すばらしいタイトルだと思いました。実際に東京で生活するのは、体力・精神・金銭のあらゆる面で、かなり消耗します。東京に住んでいる方の大部分は、ズバリ本音を突かれたのではないでしょうか?やや上から目線の挑発的な言い方なので、賛否両論があると思いますが、東京に住んでいる誰もが、インサイトを急角度でグサッと突かれるため、このタイトルを目にして無視することはできないでしょう。

ユーザーが無視することができないという意味で、「まだ東京で消耗してるの?」は大変に優れたタイトルだと思います。広告のコピーに使われても十分に成立しますね。

地方への移住:

本書では、基本的に地方への移住に関するメリットを中心に、働き方に対する意識の持ち方をアクセントとして構成されていると感じました。

著者が実際に移住をしているため、非常にリアルな内容となっており、大部分は共感できます。また東京都の対比で述べられている項目が多く、同時に東京暮らしのデメリットも浮き彫りになります。どちらかというと筆者は、東京暮らしのデメリットの方が「言われてみれば、なるほど」と頷く点が多かったので、下記にメモします。

ファミリーにとって、東京は意外と出かける先がない:

世界最大の人口密集地帯である首都圏には、当然ながら、あらゆる商業施設・アミューズメント・娯楽施設が集中しています。従って首都圏=週末のお出かけには事欠かないように思います。しかし、

✔ 物理的な距離は大して離れていないのに、移動にやたらと時間がかかる

✔ 物理的な移動距離は大して長くないのに、移動するとやたらと疲れる

✔ どこにいっても人混みばかりで、結局やたらと疲れる

✔ おまけに、どこに行っても、何でもかんでも、やたらと高い

というのは、言われてみれば「確かに!」となります。電車も混んでいるでしょうし、自動車での移動も渋滞だらけ。乳児や幼児を2人も連れていたら、両親は疲れ果てるでしょう。その消耗度合いは考えるだけで嫌になります。。。。いわゆる「お出かけ」は月に一回行けばいい方で、ほとんどは自宅周辺の公園などで過ごす、というご家族が案外多いのではないでしょうか。

東京は食べ物がまずい

グルメガイドとして世界的に有名なミシュラン・ガイドが欧米以外で初めて選んだ東京。2007年「ミシュラン・ガイド東京2008」では掲載店150店全てが星1つ以上を獲得。星の累計数では世界最多となった東京ですが、著者は「東京の食べ物はまずい」と切って捨てます。

確かにミシュラン・ガイドに掲載されるようなお店の料理が美味しいのは間違いないでしょう。高級レストランの水準は世界に誇れるものがあると思います。しかし、著者は日常で食べる食事が「まずい」と主張します。

これも「言われてみれば、なるほど」と思いました。

著者は生鮮品の鮮度が低いことを理由に、東京の食事情の貧しさを語っていますが、筆者に至っては、おおよそコンビニで賄っています。体の半分くらいはコンビニおにぎりで出来ているのではないかと思います。確かに、大変に貧しい食生活です。筆者の場合は、やや極端な例ですが、一般的に見ても

✔ 農家の直売所が充実しており、採れたての野菜が食べられる

✔ 野菜だけでなく、捕れたての魚も食べられる

地元のみで消費される、美味しいものがある

という点で、「庶民の食生活」は地方に軍配が上がるように思います。

東京での子育て:

「ファミリーにとって、東京は意外と出かける先がない」の視野を更に拡大すると、「東京で子育てをする」ことは、どうなのか?となります。

筆者は高校まで地方で育ち、お世辞にも都市部とは言えない田舎で過ごしました。その経験からすると、東京の子育て環境は異常に写ります。

夜遅くまで塾に通う小学生。公園を占拠する高齢者。頻繁に出現する不審者。騒ぐことが許されない住環境。少子化にも関わらず、まったく解消しない待機児童。もはや東京で子育てをする理由を見つけることが難しいです。

よく地方では高水準の教育が受けられないとの議論も聞きますが、地方では身につかないのは、高水準の教育ではなく、超エリートになるための学歴です。超エリートになる学歴とは、東京大学に合格するだけでなく、開成・麻布あたりから東京大学に入学する学歴を指します。開成高校(中学)や麻布高校(中学)は、東京にしかないので、地方では絶対に不可能です。しかし、このような難易度の高いな学歴は、メガバンクや霞が関で昇進を重ねトップを狙う時に有利になるかもしれない?もので、大部分の人間には、あまり必要のないものです。筆者には東京で子育てをするメリットは全く感じられません。

「指示待ち」という働き方は絶滅する

著者は本書で、地方にも仕事はたくさんあると述べています。ここだけは、筆者がやや共感しかねる点でした。著者のように先見の明があり、十分な収入を確保しつつ、先行投資が可能な状態で仕事を作ることは可能でしょう。しかし金銭的な余裕がない場合は、やはり人口が圧倒的に少ない地方で仕事をつくり食べていく、家族を養っていくのは、万人には難しいのではないかと考えています。

一方、東京で働こうが、地方で働こうが「指示待ち」という働き方が絶滅するという、著者の主張には大いに頷けます。

指示待ちとは、思考の放棄を意味します。今後、計算力・記憶力・語学力などのベーシックな能力はAIの発達で急速にその優位性を失っていくと予想します。その中で価値を高めていく能力は思考力ではないでしょうか。物事を突き詰めて考え抜く能力が今後、求められる能力になる気がします。

著者は、やや扇動的な表現が目立つため、WEB上での批判が目につくこともしばしばありますが、本書を読むと、広い視野をもって深く思考していることがわかります。著者が今日の成功を収めている要因は、「人よりもよく考えているから」だと、ひそかに考えています。

以上、何かべた褒めになってしまって気持ち悪いけど、筆者も、まだ東京で消耗してるなぁ、というお話でした。

■作品;「まだ東京で消耗してるの?」

■著者;イケダハヤト

■刊行;2016年1月

■版元;幻冬舎新書

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