藤沢数希:「僕は愛を証明しようと思う」を読んだ感想と、男の欲望を満たすテクノロジーについて。

僕は男の欲望を実現するための秘密のテクノロジーを手にしてしまったのだ。

※幻冬舎 僕は愛を証明しようと思う。 藤沢数希著 P2より引用。

こんにちは。読書@toiletです。

読書@toiletの読書日記も兼ねて読んだ本の紹介させていただいてます。

僕は愛を証明しようと思う。

本書は藤沢数希さんによるビジネス書?実用書?どちらかというと小説に分類されそうな、つまり分類不能な書籍です。本書において解説されるのは「恋愛工学」となります。「恋愛論」は10人いれば、10通りあると思いますが、本書では「論」ではなく「工学」となります。「恋愛」という不定形の事象を、数理モデルに落とし込み、可能な限り再現性を高め「恋愛工学」として体系化された本書は、筆者にとって、その切り口が圧倒的に新しく夢中で読んでしまいました。

著者の藤沢数希さんは物理学のポスドクで、学生時代から進化生物学の研究を続け、外資系投資銀行でトレーダーとして活躍した後、作家デビューするという稀有の経歴を持っています。かような経歴をもった著者が書く本書は、一種の参考書的な役割を担いつつ、一つのエンタメ小説としても十分に成立する読み物になっており、繰り返しますが、ビジネス書とも実用書とも小説とも、どこかが違う、分類不能の読み物になっています。言えることは、サイコーにおもしれー、ということです。

<注意事項>

以下は、やや男性の視点に偏った内容の記事となります。場合によって女性の方の気分を著しく害する恐れがありますので、ここまでお読みになった女性の方は、離脱されることをお勧めします。本記事によって気分を害した責任を筆者は負いかねます。

恋愛工学

著者、藤沢さんが体系化した「学問」で、日本・アジア・欧米諸国の恋愛市場で培った経験と学生時代より研究を続ける進化生物学の理論、更には心理学や金融工学のリスクマネジメントの技法を取り込んだ、恋愛の理論です。著者が発行する日本有数の有料メールマガジン「週刊金融日記」にて、最初の研究論文が発表されました。筆者はこの有料メールマガジンは購読していませんので、どのようなものかわかりませんが、大変に興味を唆られるのは確かです。でも、やっぱ購読はしないか。。。

なので、本書で紹介されている「恋愛工学」が、どれくらい網羅されているかは不明ですが、主に恋愛に関するメソッドをストーリーに乗せて解説され、十分に有意義な内容となっています。ただ、本書の場合は恋愛全般ではなく、体のつながりを持つことを最終目的とした、男性側からのみの戦略と戦術が、内容の中心となります。ひらたく言うと、ナンパ指南本みたいな内容ですが、著者の筆力とエンタメ小説としての面白さ、語られる理論の確かさから、もっと高尚な書物のように感じています。

以下、そのメソッドをメモのため、まとめたいと思います。

非モテコミットとフレンドシップ戦略:

これは筆者も含め、多くの男性が安易に採用しているであろう(筆者だけでないことを強く信じる。。。)戦術と戦略となります。

非モテコミットとは、筆者のようにあまり女性にモテない欲求不満の男性が、ちょっとやさしくされた女性のことを、コロッと好きになり思いつめて、その女性のことばかり考えて好かれようと必死にアプローチする戦術を指します。最も誠意のある戦術ですが、著者はこれに対する女性の反応は、次の2パターンに分かれると解説します。「キモい男」と分類するか、「うまく利用して搾取する」相手としてロックオンするか

一方、フレンドシップ戦略とは、前述した筆者のような男性が、非モテコミットした女性に対して採用するアプローチを指しています。まず、体のつながりを持ちたい欲求はおくびにも出さず、親切にするなど友達になろうとします。そして友達として親密度を高めていき、思いを告白して彼女になってもらい、心も体もつながろうとする戦略です。一見すると正攻法のように見えますが、著者は一刀両断します。女性は男性に出会った瞬間に、彼氏にする男性か、友達にする男性かを仕分けてしまうからです。いったん「友達フォルダ」に入っていますと、「男フォルダ」へ移ることは困難です。従って、フレンドシップ戦略は成功の確率が極めて低い下策ということになります。

ちなみに、これは筆者が最も多用し、最も信頼をおく戦略となります。。。。。。。まとめていて段々と辛くなってきますが、もう少し続けます。

モテ=ヒットレシオ×試行回数:

「モテる」とは何なのか?分かっていそうで、何となく抽象的なものを、著者は数理モデルにしました。

試行回数とは、1人の女性と出会いから体のつながりもつため、コミュニケーションや投資を含めた一連の試行を1回と数えます。ヒットレシオは目的を達成した、つまり体がつながった確率を指します。本書に登場する恋愛工学では、この方程式が定理となっています。

イエスセットによるラポールの形成:

いよいよ恋愛工学発のテクノロジーに裏打ちされたメソッドの登場です。いや、他の書籍とかに出ていただごめんなさい。少なくとも筆者には新鮮に映りましたので。

おそらく心理学から取り入れたメソッドで、心理療法士は、患者の治療を始める際、最初に患者との信頼関係を築く必要があります。その信頼のことをラポールと呼びます。これは表面的な信頼ではなく、無意識の潜在意識レベルでの信頼関係を意味します。

そのラポールの形成を促進するのがイエスセットです。人間は相対する人間からの質問に「イエス」と答え続けていると、自然にラポールが形成され、「イエス」と答えやすくなるというものです。催眠術みたいなもので、イエスの慣性の法則となります。

タイムコンストレイントメソッド:

時間制限法です。例えば「大切な人物との約束があって、あと20分しか時間がない」と先に宣言をしてしまう行動です。著者によると女性は、見知らぬ男性から声をかけられた際、まず警戒するのが「いつまでも、ダラダラと無駄な時間につきあわされるのではないか?また強引な誘いで不愉快な思いをするのではないか?」となります。この心理的ハードルを、こちらから時間制限を伝えることで、大幅に下げることが可能となります。更に「自分が忙しい=人気者である」ことを演出する効果もあり、非常に有効なメソッドして、本書の物語の中でも多用されています。

オープナー各種:

初対面の女性に、オープンな空間で声をかける際に使用されるメソッドです。要はナンパで連絡先をゲットするメソッドです。

「道聞き」オープナー:

自分の目的地を伝え、その道順を聞くことを会話のきっかけとし、声をかけた女性の連絡先を聞き出すメソッドです。汎用性が高く、映画「マディソン郡の橋」で、クリントイーストウッドが使用したオープナーとして、本書では紹介されています。一方、対象となる女性が道を教えてくれようとする善意につけ込む方法となるため、「目的地が本当にわからない場合のみ」使用することが推奨されています。

「写真」オープナー:

自撮りを試みている女性に対して有効なオープナーです。写真を代わりに撮ってあげることで、より自然に話しかけることができ、返報性の法則により、写真をとってもらった女性は、会話を無視しづらく連絡先を聞かれても断りづらい、非常にパワフルなメソッドです。

一方、写真を撮ろうとしている女性にしか使用できず、汎用性が低い点が難点となりますが、Instagramが全盛の現在では、そのデメリットも小さくなりつつあると考えられます。

「こんばんわ」オープナー:

勢いで「こんばんわ」と話かけるメソッドです。もはやメソッドでも何でもない、特攻精神によって支えられるオープナーとなります。

以上、ここまでで、本書のやく20%ほどのページ数で紹介されるメソッドです。以降の本当に重要なメソッドについては、ぜひ本書を購入の上、確認されることをお勧めします。

男の欲望を満たすテクノロジー

筆者は、どちらかというと恋愛には疎く、また自身の中でのプライオリティも、あまり高くなかったのですが、このように様々な理論の裏打ちによって、方法論を解説されると「よし、ナンパの一つもしてみるか!」という気分になるので、不思議なものです。いや、実際にはしないのですが。

これは研究者としての一面を持つ著者が、本気で「恋愛工学」について思考し、論理的な矛盾が一切なく、再現性が非常に高そうにみえるからだと思います。心理学と金融工学に「恋愛」をかけ合わせて、このように面白い理論が展開出来るのであれば、他にも様々な「◯◯工学」が考えられます。

心理学と金融工学に「ギャンブル」をかけ合わせた「賭博工学」。

心理学と金融工学に「宗教」をかけ合わせた「宗教工学」。

いずれにしても、筆者にとって非常に新鮮な刺激を与えてくれる書籍でした。

以上、筆者は本書が発売されて間もなく手に取りましたが、未だに恋愛工学の実践には至っておらず、テクノロジーの勝利を味わった方に、ぜひ一連の経過を伺ってみたいなぁ、というお話でした。

■作品;「僕は愛を証明しようと思う。」

■著者;藤沢数希

■種類;ビジネス書?

■刊行;2015年6月

■版元;幻冬舎

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