誉田哲也:「武士道ジェネレーション」を読んだ感想と、結局、桐谷先生が最高にカッコいい件について。

人が何かを守ろうとする時、必要になるのは、力だ。圧倒的な力。それでいて暴走しない、抑制的な、禁欲的な、どこまでも制御され、研ぎ澄まされた、力だ。

※文春文庫 武士道ジェネレーション 誉田哲也著 P131より引用

こんにちは。読書@toiletです。

読書@toiletの読書日記も兼ねて読んだ本の紹介させていただいてます。

武士道ジェネレーション

本書「武士道ジェネレーション」は、青春スポーツ・エンタメ小説「武士道シリーズ」の最新作です。(2018年8月1日時点)

参考 誉田先生の武士道シリーズの記事はこちら↓

誉田哲也著 武士道シックスティーンを読んだ感想を書いています。

武士道シリーズは、2人いる主人公、磯山香織と甲本早苗が高校剣道部で青春をスポーツに捧げる中で成長していく物語です。

・武士道シックスティーン・・・高校1年生、磯山香織と甲本早苗の出会い

・武士道セブンティーン・・・高校2年生、磯山香織と甲本早苗が別々の場所で武士道に目覚める。

・武士道エイティーン・・・高校3年生、磯山香織と甲本早苗、高校生活の総決算。

と展開します。そして、本作「武士道ジェネレーション」は、予想通り、磯山香織と甲本早苗の高校卒業後~の物語となります。

シックスティーン~エイティーンは、高校の部活においての剣道を描いていましたので、インターハイや玉竜旗などの大きなイベントを通して、主人公2人の対決や、磯山香織と黒岩伶奈の宿命の対決など、エンターテイメントの側面からも盛り上げ要素がありました。

対して、高校卒業後を描く本作「武士道ジェネレーション」では、本シリーズの冠になっている「武士道」に、よりフォーカスした内容になっています。

これは個人的な好みですが、筆者は本シリーズの中で、本作「武士道ジェネレーション」が最も好きです。

登場人物

本作「武士道ジェネレーション」では、主人公2人が新しい人生のステージに入りますので、やはり新しい人物が登場します。正確には、以前からチラチラと現れているため初出ではありませんが、主人公級の扱われ方をしていますので、新しい登場人物という位置づけになります。

沢谷充也:

磯山香織と関係の深い桐谷道場の師範代です。桐谷道場の代表である桐谷玄明(きりやげんめい)の遠い親戚にあたり、現在は警視庁に所属し特練員に指定されている。

特練とは「術科特別訓練」の略称であり、「術科」とは警察官の職務に必要な技術や体育のことで、柔道・剣道・逮捕術・拳銃射撃・白バイ乗務などがこれに当たる。これらの技術・体育を特別に訓練するよう指定された警視庁職員が特練員であり、沢谷の場合は剣道の特練員ということになる。

つまり、警視庁に所属しながら学生時代と変わらずに剣道の稽古三昧でいられる、剣道エリートである。

学生との大きな違いは、所定の成績を収められないと、特練員の指定を解除されてしまうことにあるが、沢谷充也は全日本選手権3位となるなど、十分な好成績を上げている。ちなみに、全日本選手権3位ということは、事実上、世界で剣道が3番目に強いことになるため、見た目以上に価値のあるものだと、主人公の磯山香織が語る場面がある。要するに剣道家として、めちゃくちゃ強いということである。

上記で述べたように、沢谷充也は桐谷道場と関わりが深いため、自然と磯山香織との関わりも深くなる。その流れで、甲本早苗との関係性も生まれ、甲本早苗の伴侶となる。つまり沢谷充也と甲本早苗は結婚する。なお、本書の冒頭は2人の結婚式から始まるため、クリティカルなネタバレにはならない。二人の馴れ初めについては、ネタバレに生るので、ここでの記述は控える。

容姿については、身長が高く「イケメン」とのことである。冷静沈着で礼儀正しい人格者で、剣道家としても優秀で且つ英語が堪能であるため、ハイスペ男子と言える。

桐谷道場に伝わる秘伝「シカケ」「オサメ」の伝授を受けており、その資質からも桐谷道場の後継者として申し分ない立場であるが、代表の桐谷玄明が、ある理由から「警視庁の業務」にこだわりを持っており、警視庁での業務を全うすべきとの考えから、道場を継ぐことを許されていない。そこで、磯山香織を桐谷道場の後継者へ育成する。

ジェフ・スティーヴンス:

甲本早苗の夫である、沢谷充也の友人。アメリカ人。身長は185cmあまりと沢谷とほぼ同じくらいの高身長であり、細マッチョ。剣道歴は10年ほどあるが、沢谷や磯山と比較すると、まだまだ。ただし、沢谷・磯山は全日本トップレベルの実力を有しているため、一般的な剣道家としてのレベルは不明。磯山・甲本ともに素質は十分と認めている。

アメリカではシンクタンクに努めており、1年後から開始されるインドでのプロジェクトに向けて準備のため、日本に滞在している。日本語も日常会話程度は不自由しない。沢谷いわく、「非常に頭のいい人」。

議論することを好む。また議論が得意であることも伺える。甲本早苗が学生時代に学んだ歴史観からの主張に対して、完璧に論破してみせた。

論理構成が精密であることは当然、ディスカッションにおけるテクニックも訓練されていると見受けられる。

磯山香織との関係性は、ネタバレになるので、ここでは伏せる。非常に重大なトピックとなるので、ぜひ、本書を買って読んで確認することをお勧めする。

桐谷玄明&磯山香織&甲本早苗:

桐谷玄明は、ちょっと歳のせいで体にガタが来ており、道場を閉めようかと弱気になっている。

磯山香織は明応大学を卒業後、就職せずに桐谷道場を手伝っている。なお本書に登場する明応大学は明らかに慶応大学をイメージさせる。

甲本早苗は一浪の後、長谷田大学へ進学した。長谷田大学は早稲田大学と考えて良い。長谷田大学を卒業後は、母校である東松学園の事務員として働いている。

人が何かを守ろうとする時、必要となるのは、力だ。

冒頭のセリフは、桐谷玄明が磯山香織に対して発したものです。ちょっと長かったので、端折りましたが、その後に続くセリフが印象に残りました。以下、全文を引用します。

人が何かを守ろうとするとき、ただ守りたいという気持ちだけでは、叶わないことがある。むしろ、叶わないことの方が多いのではないかと、私は思う。悲しいかな、守りたいという気持ちだけで何かが守れるほど、この世界は綺麗事では成り立っていない。・・・・人が何かを守ろうとするとき、必ず必要となるのは、力だ。圧倒的な力。それでいて暴走しない、抑制的な、禁欲的な、どこまでも制御され、研ぎ澄まされた、力だ。それを持ち得ない者は・・・奪い合いの渦に呑まれることになる。

※文藝春秋 武士道ジェネレーション 誉田哲也 著 P131より引用

要するに、何かを守るためには、何かを成し遂げるためには「圧倒的な力」が不可欠であるが、その力は100%制御されたものでなければならない。ということですね。何かカッコイイと思いませんか?

以上、「自分でも制御できない力」って何があるんだろう?というお話でした。核かな。

■作品;武士道ジェネレーション

■著者;誉田哲也

■種類;エンタメ

■刊行;2015年7月

■版元;文藝春秋

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