藤沢数希:「損する結婚 儲かる離婚」を読んだ感想と、恐ろし過ぎる離婚費用の正体。

大人の男女にとって最大のリスクは「結婚相手」である。

※新潮新書 損する結婚 儲かる離婚 藤沢数希著 扉ページより引用。

こんにちは。読書@toiletです。

読書@toiletの読書日記も兼ねて読んだ本の紹介させていただいてます。

損する結婚 儲かる離婚

筆者は藤沢数希さんの本が好きなので、いくつか紹介させていただいています。どれもタイトルにインパクトがあるのですが、本書もなかなか刺激的です。

参考 藤沢数希さんの書籍紹介はこちら↓

藤沢数希 著「外資系金融の終わり」を読んだ感想を書いています。
藤沢数希 著「僕は愛を証明しようと思う。」を読んだ感想を書いています。

本書を読むと、未婚の読者の方は結婚に関する認識が一変すると思います。本記事のタイトルと似通っていますが、本書は以下のような、前書きから始まります。

国際的なビジネスマンや起業家の方たちと話すと、彼らは目まぐるしく変化する世界経済のなかで、いかに稼いでいくか、そしてどうやってリスクを避けていくのか、非常に高い感度で情報収集し、とても深く考えていることに感心する。また、日本や世界の政治情勢に高い関心を示し、規制や税制の変化にもとても敏感である。これほど様々なリスクに関心を払っている優秀な彼らだが、身近にひとつ巨大なリスクを抱えていることに全く気がついていない。そのリスクとは「奥さん」である。

※新潮新書 損する結婚 儲かる離婚 藤沢数希著 P3より抜粋

著者である藤沢数希さんは、大手の投資銀行でトレーダーを経験し、作家としても成功なさっているため、様々なビジネスマンや起業家の方々とお会いになっているものと思います。恐らくたまたま、その大部分が男性であるため、リスク=奥さん、となっていますが、これが女性であった場合は、リスク=旦那さん、となります。

なぜ、儲かる=離婚で、損する=結婚、なのか。

その衝撃的な理由を、以下、本書の内容を要約しながら見ていきます。

離婚の際にかかる費用:

一般に離婚の際に発生する費用で有名なのは「慰謝料」です。その他、幼い子どもがいる場合は「養育費」、また熟年離婚などで取り沙汰される「財産分与」も聞いたことがあると思います。

例えば、今をときめく商社マンが長い間、浮気をしていて、奥さんにバレたとします。ビジネスの上では、決して隙を見せないデキる男も、全てを見通す女の勘の前では、その辺の一般男性と対して変わりなく、長期間の不貞行為を隠し通せるものではありません。必死の謝罪も虚しく、奥さんは家を出て実家に戻ってしまったとします。奥さんには大変に申し訳ないことをしたと深く懺悔しながらも、そこは切り替えの早い出来る男、もはや関係修復が困難な奥さんとは離婚して、浮気相手と新しい人生を歩む方が、お互いに生産的な人生となるのではないかと考えます。子供はいないため、養育費はかかりませんが、財産分与については腹を括りました。慰謝料も言い値を用意しようと覚悟しました。この際、浮気夫の商社マンは、どの程度の費用を支払う必要があるでしょうか?

これは、奥さんの意志一つにかかっていますが、本書からは、その気になれば、夫のほぼ全財産を搾り取ることも出来る、と読み取れます。

儲かる離婚の正体はコンピ:

上記のようなケースの場合で、奥さんの恨みが途方もなく大きく「夫の人生を破綻させないと気がすまない、浮気相手と新しい人生など決して歩ませない」と固く決意している場合、家庭裁判所に行って婚姻費用の審判を申請します。ここで聞き慣れない費目が出てきました。「婚姻費用」です。離婚の際にかかる費用は、「慰謝料」「養育費」「財産分与」「婚姻費用」の4つが考えられます。そして、この「婚姻費用=通称コンピ」が離婚費用をとてつもなく膨らませるブースターなのです。

よく芸能人や有名スポーツ選手が離婚する際に「慰謝料:ウン千万円もしくはウン億円」といった報道がされますが、日本では浮気の慰謝料は、せいぜいが100万~200万円程度です。これが米国では、社会で二度と、このようなことが起こることがないよう、つまり見せしめで、べらぼうな金額の支払い命令が出ることもあるようですが、日本ではありません。多少支払能力で増減することはあっても、大きくは変わりません。では何千万や何億円もの費用を生み出すのは、何なのか?これが婚姻費用=コンピとなります

婚姻費用とは結婚生活を維持するための費用で、民法上、夫婦は相手の生活を自分と同じレベルで維持し、夫婦の資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する義務があると規定されています。つまり、夫婦でより稼いでいる方が、そうでない方に毎月一定の金額を支払う義務があるということです。

その額は会社員であるか、自営業者であるか、当人のキャッシュフローの多可で決まってきますが、

・年収1,000万の会社員、専業主婦、子なし=14~16万円(月額)

・年収2,000万の自営業者、専業主婦、子供2人=40~42万円(月額)

となります。奥さんは、この婚姻費用を裁判で離婚が成立するまで浮気夫の商社マンへ請求し続けます。そして離婚裁判は長い時間がかかります。仮に3年間離婚裁判をして、ようやく和解により協議離婚した際、年収1,000万の浮気夫商社マンが支払う費用を、ざっと計算すると、

200万円(慰謝料)+576万円(16万×36ヶ月:婚姻費用)+財産分与分

となります。マンションでも買っているようなら、例え高給取りの商社マンでも、財産の大半を持っていかれることになるのではないでしょうか?・・・いやぁ、商社マンなら、どうとでもなるか・・・。

まぁ、とにかく、離婚においては、慰謝料や何やよりも、コンピが大変!ということです。

恐ろしい損する結婚:

ここまでの本記事の内容は、浮気夫が本気で怒った妻に、多額の金銭を支払う義務が発生する、浮気をされた方からすると快哉を叫びたくなる内容でしたが、別のケースを見ると恐ろしくなります

ここに、稼ぎのないダメヒモ亭主を自分の収入で養ってやっている、健気な妻がいたとします。このダメヒモ亭主は本当にダメ男のため、健気な妻の収入をキャバクラで使いまくり、挙句の果てに若い女性といい仲になり、別居して浮気相手のヒモ男になってしまいました。当然、妻は、こんなダメヒモ亭主に愛想をつかし、離婚届けを突きつけたとします。さて、ここで妻はコンピを支払う必要があるのでしょうか?

驚くなかれ、本書で、この健気な妻はアホのダメヒモ亭主にも、コンピを支払う義務が発生する、と述べられています。

筆者も、そんな馬鹿な、、、と思いましたが、本書の冒頭で、著者の身近にあった、上記とはちょうど男女を真逆にした事例を元にコンピ地獄の恐ろしさが記載されています。

日本の法律では有責配偶者(離婚の原因を作った配偶者)がどちらか?は関係なく、婚姻関係が継続している限り、婚姻費用が発生するようです。

結婚とは、、、恐ろしいものです。

大人の男女にとって最大のリスクは「結婚相手」である

ここまでの内容は、本書のほんの最初の部分を掻い摘んで要約したに過ぎません。本書では、更に「離婚裁判の実態」「有名人の結婚と離婚に関するケーススタディ」「結婚相手の選び方を投資として見た場合」など、普段なかなか知りえない内容や、おもしろい切り口から、結婚・離婚について述べられています。

これから結婚を考えている方も、既に結婚をしている方も、ぜひ一度手にとって読んでみることをお勧めします。

よく巷で「結婚は勢い」「結婚はタイミング」と言われますが、とんでもなく無責任で無知な言葉だということがよく分かります

大人の男女にとって「結婚相手こそ最大のリスク」なのだから、男性・女性の別なく、保険や不動産の購入以上に慎重なデューデリジェンス(査定)が必要なのです。

こんな法体系では、そりゃ、婚姻率も低下するわ・・・

以上、金融マン、商社マン、医者、弁護士、会計士よりも、腕利きのヒモ男が最強じゃないのか?というお話でした。

■作品;「損する結婚 儲かる離婚」

■著者;藤沢数希

■種類;ビジネス書

■刊行;2017年2月

■版元;新潮新書

フォローする