リリー・フランキー:「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」を読んで、人気者になる秘訣を考えてみた。

なんでも笑いにしてきた。オカンもボクもできるだけ、そうやってきた。

※新潮文庫 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン リリー・フランキー著 P322より引用

こんにちは。読書@toiletです。

読書@toiletの読書日記も兼ねて読んだ本の紹介させていただいてます。

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン:第3回 本屋大賞受賞作

本書は、リリー・フランキー氏による、ほぼ自伝的な長編小説です。

雑誌「en-taxi」の創刊号から連載されていたものですが、2005年に単行本が刊行されると、累計200万部を超える大ヒットとなりました。

2007年には、かのフジテレビ「月9(げつく)」枠で、主演:速水もこみち、オカン:倍賞美津子さん、オトン:泉谷しげるさんという配役にてドラマ化されましたね。

初回視聴率は14.2%(関東)と、当時、十何年ぶりの15%割れとなり、あまり良くない方向で話題になってしまいました。

しかし、14%オーバーで不振という評価がくだされるのは、約10年後となる2018年現在では隔世の感があります。ここ2~3年の「月9(げつく)」は、10%を超える作品さえ、滅多にない状況ですから。

また、「第3回本屋大賞」では、「伊坂幸太郎:死神の精度」「東野圭吾:容疑者Xの献身(直木賞受賞作)」「奥田英朗:サウスバウンド」など、人気作品がずらりとノミネートされる中、大賞を受賞しました。

ちなみに、本屋大賞とは”芥川賞””直木賞”に代表される文学賞が、出版社もしくはそれに属する組織によって運営されることに対し「本を売る書店員が、今一番売りたい本」を選ぶというコンセプトで創設された賞です。

つまり、より読者(素人?)目線で選考されるため、本屋大賞=その年の一番面白い本、と理解していいのではないかと考えています。

あくまで筆者の独断と偏見ですが、その他の文学賞受賞作より、楽しめる作品が多いような気がしています。

とにかく、リリー・フランキー氏の知名度を、飛躍的に高め、全国区に押し上げた作品となります。

魅力的な「オカン」

本作は先述したように、著者:リリー・フランキーの自伝的な内容となっていますが、主人公は「オカン」となります。

著者は4歳の時に、オトンと別居し(離婚はしていない)ほぼ母子家庭と呼べる状況で、筑豊の炭鉱町で育ちました。

現代でも母子家庭による子育ては経済的に厳しい環境にあることが多く、行政による保証も十分でないため、困難が多いと思いますが、著者とオカンも例外ではなく、住居を転々とし、周囲に気を使いながらの生活として描かれてます。

しかし、本作ではそんな辛苦は、ほとんど感じられません。どちらかというと、そんな困難も楽しみながら、やり過ごす、幸せな生活を送っていた感じを受けます。

これは、本書に登場する(実在した)著者のオカンのキャラクターによるところが大きいと思います。

以下、オカンとそれにまつわる象徴的なエピソードをまとめます。

✔ 躾には独特の方針があった。例えば、箸の持ち方については、一切矯正しない。ただし、食事の中で著者の好物である「漬物」を、食べる順番は最後の方にすることを、厳重に指導する。これは、せっかく食事を作ってくれた相手に対して、好きなオカズがなく、「漬物しか食べるものがない」と思わせることを防ぐためと考えられる。

✔ 絶対に愚痴を言わず、自身のことよりも、著者をはじめ周囲の人間を優先する。

「若い人は、いついかなる時も空腹である」と頑なに信じている。そのため、著者の友人など若い人間の来客があると、必ず食事の用意をする。また、料理が大変に上手であり、料理自体も好きである。

✔ 「河童(かっぱ)」の存在を信じており、自身が飲食店を経営した際は、店の名前を「河童(かっぱ)」にした。

✔ 明るい性格で、誰とでもすぐに仲良くなれる。そのため、自宅への来客が多い。ほぼ連日、自宅では、家族以外の誰かが食事をしている

✔ 年齢が離れている著者の友人からも人気がある。ちょっとしたパーティなどには、著者を通さず、直接オカンに誘いが来るほど。

つまり、コミュニケーションと料理の達人なのですね。何もしなくても、(本当は何かしているから)周囲に人がよってくるタイプの人間です。

なんとも、羨ましい限りですね。

人気者の秘訣

この記事の冒頭に、本書より抜粋した文章を乗せていますが、筆者が考えた「人気者の秘訣」が、ズバリこれとなります。

なんでも『笑い』に変えることができる人

辛いこと、理不尽なこと、面倒くさいことなど、マイナスのことはもちろん、嬉しいことなどのプラスことも、「笑い」に変えて、周囲と共有できる人。

こんな人間は、一緒にいて楽しいですよね?

大変に難しいことだと思いますが、これが出来れば、自然と人気者になれるのではないでしょうか。

以前に読んだ、浅田次郎先生の傑作「プリズンホテルシリーズ」にも、似たような表現がありました。

参考 プリズンホテル 4 秋 の記事はコチラ↓

以上、なるべく笑いに変えることが肝心なら、お笑い芸人は最強の仕事だなぁ、というお話でした。

■作品;東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

■著者;リリー・フランキー

■種類;小説

■刊行;2010年7月

■版元;新潮文庫

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